ちょっと前、朝の情報番組を見ていたら、
「よその子供に声をかけるとすぐに通報されてしまう」…ということが話題になっていた。それも、ただ「ねえねえ…」と呼びかけただけとか、「もう遅いから早く帰ったほうがいいよ」みたいな、ともすれば必要性さえ感じるような声かけまでもが…。あと、道を聞いたりとかも。
まったく、なんて異常な時代になったんだ!
たしかに子供を狙うアブナイ奴も増えてはいるんだと思う。現に事件も起こってるし。だからこそ逆によその子供にでも声をかけなきゃいけないってこともあるのにねー。
ある日、こんなことがあった。
出かけるため家を出てちょっと行ったところで、前方からこちらに歩いて来る一人の小学校低学年と思しき女の子が、手袋か何か布のようなものを落としたのを目撃した。それに気づかずに歩いて来るその子にオレは「今、何か落ちたよ」と指差して教えてあげた。ちなみにその子が落とし物をしたすぐあと、その子とすれ違ったサラリーマンらしき男性は、それを見ていたのかどうなのか、何も反応しなかった。ふつうなら視界に入ったはずだと思うのだが。
そしてオレのその声かけはその女の子に無視された。
明らかにオレの声は届いているのだが、何か警戒している感じで視線を合わせようともしない。なるほどな、知らない人とは口をきくなとでも教育されてるんだろうな…と感じた。
しかしそう感じたからと言って放っておく道理はない。すれ違うべく近づいて来たその子にもう一度「ホラ、今何か落としたよ。キミのでしょ?」と言った。ようやくその子はオレの指差すほうを振り返り「あっ、…ありがとうございます」と言って拾いに行った。そしてもう一度オレに向かって「ありがとうございました」と礼を言った。「どういたしまして」とオレは言って、オレたちはすれ違った。
そしてその数日あと、また別の小さな女の子とすれ違った時のこと…。
やはり住宅街で、今度は一人でちっこい自転車に乗ってこっちにやって来る女の子。その子はオレとすれ違う直前、いきなり「こんにちわ」と言った。オレのまわりには他に誰もいない。ってことは、その「こんにちわ」はオレに向けられたもの?! 知らない子なのに…。一瞬間を置いてしまったが、オレも笑顔でその子に「こんにちわ」と言ってすれ違った。
ちょっと複雑な思いや戸惑いはあるものの、どっちのケースでも結果的にはとてもホカホカした、いい気分になった。でもやっぱりこういうのではストレートにいい気分になりたいもんだねー。
そもそもオレは子供嫌いなのだが、こういうふうにちゃんとあいさつ出来たり、相手の気持ちを本能的に慮って表現出来る子供は人間として大好きだな。そんなふつうにあたりまえのことが出来ないいい年をした大人がたくさんいるだけにね。この子たちが素直にそのまま育ってくれて、ふつうの良識ある大人になって、子供を作ってもちゃんとしっかりふつうの人間に育てていって欲しいなと願わずにはいられない。
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